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【ガーデニング】お気に入りのアジサイを挿し木で増やそう!

最近人気のアジサイ。既に育てているという方は少なくないと思います。お気に入りのアジサイを増やしたいと考えている方もおられるでしょう。そんな方におすすめなのが挿し木です。今回は、アジサイの挿し木の仕方など、アジサイの栽培に関する情報をまとめてみました。

アジサイとはどんな植物か

まずはアジサイとはどんな植物なのか、簡単にご紹介します。

紫陽花(アジサイ)

アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種です。

原産地は熱帯アジア、アジア及び北アメリカに約40種類が分布し、日本には約10数種類が存在しています。

花は両性花(完全花)と装飾花(不完全花、中性花)の2種類で構成されており、アジサイを見て多くの人が「(外見上の)花」と認識しているのは装飾花である事が多いです。

花の色の秘密

アジサイの魅力は様々に変化する花色。その秘密は土にあります。正確には土の酸度が要因となっています。

アジサイの花(装飾花)の色にはアントシアニンという色素があり、さらにその一種デルフィニジンが含まれています。このデルフィニジンに補助色素とアルミニウムイオンが加わると青い花となるのです。

アジサイの花は土が酸性なら青、アルカリ性なら赤になると言われています。これはアルミニウムがイオンとなって根から吸収されるかどうかに、土の酸度が関係してくるからです。

土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて青く色づきます。

反対に土壌が中性かアルカリ性の場合はアルミニウムは溶け出さないので、アジサイに吸収される事もなく、赤色の花となるのです。

その性質を利用して土の酸度を調整する事で、好みの色の花を咲かせる事も可能です。

ただし、品種によっては酸度による変化が弱いものもあるので、全てのアジサイに当てはまる性質という訳ではないそうです。

アジサイの種類

近年のガーデニングブームもあって人気が高いアジサイは、非常に多くの形態があります。

ここでは、アジサイの仲間とされている花達をご紹介します。

ガクアジサイ

日本に広く分布しており、漢字で書くと「額紫陽花」となります。両性花の周りに咲く装飾花を額縁に見立てたのが由来とされています。

アジサイの仲間の花姿は本種が基本タイプとなっています。

栽培品種は”花火”、”城ケ崎”など。

ホンアジサイ

両性花が全て装飾花に変化したガクアジサイの一種とされており、日本では古くから親しまれてきた品種です。狭い意味でアジサイというと、この種を指します。

種子ができるのは非常に稀な品種のため、増やす時は挿し木や株分けなどの方法を用います。

ヤマアジサイ

ガクアジサイを小ぶりにしたような品種。

どことなく野趣を感じる花姿と、非常に多彩な品種があるので人気があります。

主な品種としては”マイコアジサイ”、”シチダンカ”、”ベニガク”などがあります。

タマアジサイ

日本に自生している品種で、真ん丸なつぼみが玉のように見える事から「タマアジサイ」という名が付きました。

花期は7月~9月で、玉状のつぼみが裂けるように開花します。

かつては煙草の代用品や混ぜ物として使用されていました。

西洋アジサイ

日本に自生しているアジサイが中国を経由してヨーロッパへ渡り、そこで品種改良されて日本へ逆輸入されたものの総称が「西洋アジサイ」です。

花色が豊富で、花姿も豪華な品種が多いのが特徴です。従来のアジサイと区別するために属名の「ハイドランジア」の名前で呼ばれる事が多いです。

アメリカノリノキ

アメリカアジサイとも呼ばれている、アメリカ原産のアジサイの仲間です。暑さ寒さに強く、管理もしやすい事から近年人気が高まっています。

園芸品種としては”アナベル”が有名です。緑色のつぼみから花が開くにつれて白色に変わるアジサイで、清楚な花色とボリューム感がある花姿が人気です。

基本の花色が白色で、土の酸度による変化はありません。最近、ピンク色の品種が導入されました。

カシワバアジサイ

北アメリカ原産のアジサイの仲間で、葉が落葉樹のカシワに似ている事から「カシワバアジサイ」と呼ばれています。円錐状に咲くのが特徴。園芸品種としては”スノー・クイーン”が有名で、広く普及しています。

花色は基本は白ですが咲いてから時間がたって古くなるとピンク色に変わります。

アジサイには珍しく乾燥と日当たりを好む品種で、日当たりの良い環境だと秋には紅葉します。芳香を持つ品種もあり、今後さらなる普及が期待されています。

ノリウツギ

日本の自生種の1つです。低木が多いアジサイの中では珍しい高性で、5m近くにまで育つものもあります。樹皮から採取できるねばねばした物質が和紙のつなぎ(糊)となったので、この名で呼ばれています。

円錐状の花をつける事から「ピラミッドアジサイ」とも呼ばれています。花色は基本的に白。

寒さに強いため欧米での人気が高く、スタンダード仕立てにして庭のオーメントに利用する事もあるそうです。

もちろん、この他にも色んなアジサイがありますよ。自分の好みや栽培するスペースを考えて、ぴったりなものを見つけて下さいね。

アジサイの育て方

育てるアジサイが決まったら、次は基本の育て方のご紹介です。

日当たりや置き場所

日当たりの良い場所、または半日陰で。西日が強い場所は避ける

アジサイは日当たりの良い場所、または半日陰でよく育ちます。

ただし、西日が当たる場所は乾燥して葉焼けしてしまう事がありますので避けましょう。

鉢植えの場合は春と秋はよく日に当て、夏は半日陰で管理します。

アジサイは比較的寒さに強い植物ですが、乾いた寒風に当たると芽が傷んでしまいますので気をつけましょう。鉢植えの場合は寒風が当たらない場所で管理して下さい。

水や肥料

土壌だけでなく空気中の湿度にも気をつける

アジサイは水を好む植物です。乾燥するとたちまち生育に悪影響が出ます。

地植えで湿度も適切な場所に植えている場合は、真夏に日照りが続くような場合を除き、ほぼ自然の雨だけで生長しますので、栽培がとても楽にできます。

乾燥を嫌うからといって、土がジメジメしているのもNG。土質は選びませんが、水はけの良い土を好みますので、鉢植えの場合は水はけの良い培養土を選んで植え付けましょう。

地植えで乾燥が心配な場合は、株の周りに藁や腐葉土などを被せてマルチングしておきましょう。保湿力が上がります。

また、鉢植えの水やりは土が乾いたらたっぷり水をやるのが基本ですが、夏には朝と夜の1日2回水やりをするようにして下さい。

肥料は2月に寒肥を与えておきます。これは春に花を咲かせるためのものですので、ゆっくり長く効く緩効性肥料を与えましょう。

また、アジサイは秋に花芽をつけますので、花後に薄めた液体肥料を10日に1回ほど追肥します。

鉢植えの場合は3~4月と、花後の7~8月、冬の12月中旬~2月上旬に肥料の3大要素を均等に含んだ緩効性肥料を与えておきましょう。

アジサイ専用肥料も有り

品種にもよりますが、アジサイの花色には土の酸度が関係しています。

そのため、最近では赤い花や青い花を咲かせるためのアジサイ専用肥料が販売されるようになりました。

花色を変えたい、またはより色を鮮明にしたい時に使用してみると良いですよ。

剪定

特に必要ではない。主に大きくなり過ぎた場合の調整に行う

アジサイの場合、「来年も良い花を咲かせるため」「元気に育てるため」に剪定作業は必要ではありません。主に大きくなり過ぎた場合の調整として行います。

気をつけるのは剪定のタイミング。アジサイは秋に充実した太い枝に花芽をつけるので、8月以降に剪定をすると、来年花を見る事ができなくなってしまいます。

ですので剪定は咲き終わった後、なるべく早く行って下さい。やり方は、咲き終わった花とすぐ下の節を一緒に切り取ります。

ただし、北米産アジサイの”アナベル”、ノリウツギとその園芸品種”ミナヅキ”は、花芽がつくられる時期が他のアジサイと異なり、開花する年の春になります。

ですので、これらの品種の剪定は、冬季(2月上旬~3月下旬)でも可能です。もちろん、他のアジサイと同様に花が咲き終わった後すぐでも大丈夫です。

アジサイの増やし方・挿し木で増やす方法

育て方を一通り見てきた後は、アジサイの増やし方の紹介です。

アジサイを増やす方法は、「挿し木」と「株分け」の2つの方法が主流です。

アジサイは挿し木で増やせる!

アジサイの増やす方法として用いられるのは、主に「挿し木」と「株分け」の2つです。アジサイは、ほぼ装飾花のため種子が取れない品種もありますので、種子を使って増やす方法はあまりおすすめできないという事情もあります。

2つの方法の中でも、株分けはかなり大きく育った株がないとできませんので、挿し木の方がおすすめです。

挿し木とは?

植物を人為的に増やす方法の1つで、クローン技術の元祖とも言えます。

母株の茎の一部を切り取り、挿し床に挿して、芽や発根を促す園芸・農業技術です。主に種子での繁殖が難しい植物を繁殖させる方法として用いられます。

それでは、アジサイの挿し木の仕方をご紹介します。

まずは、挿し木の時期や必要な道具をそろえていきます。

挿し木の時期

挿し木の時期は梅雨時がおすすめ

アジサイの挿し木に適している気温は20度~25度くらい。日は長い方が向いています。時期で言えば5月~7月、9月くらいです。

アジサイは乾燥を嫌うので、湿度が保てる梅雨時の6月上旬~7月が特に適しています。

挿し木に必要な道具など

挿し床にする鉢、用土にも挿し木に向いたものがある

挿し床にするための鉢は、通気性の良いものが向いています。

土は必ず新しいものを用意し、あらかじめ給水させておきます。挿し木用の土が販売されていますので、できればそれを使うのがおすすめです。

挿し木をする際に、できれば用意して欲しいもの

挿し木の発根促進剤ルートン&メネデール

なくても挿し木ができない事はありませんが、挿し木の成功率を上げるために、ぜひおすすめしたいのが、発根促進剤のルートンとメネデール。

ルートンは挿し木に使う挿し穂の切り口に付けます。メネデールは水まきの時などに薄めたものを使用します。

これらを使うと根の活着の成功率がグンとアップしますよ。

それではいよいよ挿し木の手順に入ります!

挿し木の手順①

挿し木の手順① 挿し穂の用意

挿し木にするための挿し穂を用意します。

今年伸びたアジサイの枝で、花芽のついていないものを15cmほどの長さで切ります。この時、よく切れるハサミで切り口を斜めにカットしておくと、給水が良くなります。

葉から余分な水分が蒸発するのを防ぐため、挿し穂から2節目の葉を取り、1節目の葉は半分くらいにカットしておきます。

挿し木の手順②

挿し木の手順② 水上げ

アジサイの挿し穂ができたら、水にさして1時間ほど水上げします。

この時の水に100倍に薄めたメネデールを使うと、挿し木の成功率が上がります。

挿し木の手順③

挿し木の手順③ 挿し床にさす

アジサイの挿し穂の水上げが終わったら、挿し床に箸などで斜めに穴をあけて挿します。この時、挿し穂の切り口に異物が入らないように注意しましょう。

根元をしっかり押さえてから、水をたっぷりとやります。

発根促進剤を使う場合は、まず挿し床に挿す前に、挿し穂の切り口にルートンの粉を付けます。さらにその後の水やりの時に、メネデールを100倍に薄めた液を使います。根が活着しやすくなり、挿し木の成功率が上がります。

挿し木をした鉢は、明るい日陰に置いて管理します。

とにかく水を切らさないようにします。スプレーで葉水を与えるのも良い方法です。

成功していれば、2週間~1ヵ月で発根します。しっかり発根する1ヵ月後くらいに5号鉢に鉢上げします。

その後は、徐々に日当たりの良い場所に移動させながら育てていきましょう。

アジサイの育て方と挿し木の仕方・まとめ

いかがでしたでしょうか?

アジサイについて、種類や育て方や挿し木の手順など、色々見てきました。

美しい花姿と独特の風情とで、お庭を素敵に彩ってくれるアジサイを、ぜひ育てて、そして増やしてみて下さい。

きっと素晴らしい風景を見せてくれますよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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