2016/03/08 更新
断熱材で暮らしが変わる 住まいの断熱材、種類とその特性!
断熱材は私達では見ることはできませんし家を建てる時も間取りや外観などに目がいってしまって断熱材にこだわる方は多くないでしょう。しかし断熱材の種類によって日々の暮らしに重大な影響を及ぼすこともありえます。そんな断熱材の種類について調べてみました
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断熱材(だんねつざい)とは、物理、化学的物性により熱移動や熱伝達を減少させるものの総称です。建物の他、冷蔵庫や湯沸かし器など熱を扱う様々な種類のものに使われています。
断熱材の役割
住まいにおける断熱材は、冬の寒さや夏の暑さなど外気温の影響を和らげ、屋内の温度を一定に保つ役割があります。
また、冷房・暖房のエネルギー効率を高めたり、断熱材の種類によっては吸音、防音効果のあるものもあります。
断熱材は家を守る
断熱材があることにより、 結露やカビやダニなどの発生を抑えます。結露が多いとカビの原因になったり、家や家具を傷めたりします。湿気に強い断熱材を選ぶことで家の耐久性を大きく向上させてくれます。
住まいに断熱材は必要不可欠、間取りや外観も重要ですが内側の断熱材の種類にもしっかりこだわって快適な暮らしを実現しましょう。
では断熱材の種類について見ていきます。
グラスウール
ガラス繊維でできている綿状の素材のこと。住宅の壁や天井など断熱材の種類の中では多く使われているものの1つです。また、吸音効果もあり、防音室の素材として用いられることもあります。
グラスウールは建築現場や家庭などから回収されるガラスの資源ごみを利用して製造されます。高熱で溶かしたガラスを遠心力などで吹き飛ばして綿あめのように繊維状にするそうです。
不燃材料なので防火性にも優れ、断熱材の種類の中では比較的安価なので多くの住宅で使われています。
安価で扱いやすいグラスウール、施工業者さんにも勧められたけど、断熱材の種類はまだまだたくさんあります。まずはいろんな種類の断熱材を知ることから始めてみましょう。
グラスウールを使ったこんな断熱材もあります。
真空断熱材
冷蔵庫やジャーポットなどに使われてきた真空断熱材、その断熱性の高さから住宅建材の分野でも使えないかと研究されて注目されています。真空断熱材は、断熱材の周囲を真空状態にし、気体による熱伝導を限りなくゼロに近づけることで断熱性を高めるというものです。芯材には特別に開発されたグラスウールが使用されています。
セルローズファイバー
木質の繊維を利用して作られた断熱材。原料である綿や新聞紙、段ボールなどにホウ酸や硫酸アンモニウムを配合することで、難燃性や防虫効果が期待できます。
コストが高く、施工に手間がかかりますが、エコということで人気のある断熱材です。
セルロースファイバーは、様々な太さの繊維が絡み合って空気の層を作っています。さらに繊維ひとつひとつに自然の空気胞があるのでよりいっそう熱や音を伝えにくくします。
木質繊維であるセルロースファイバーは周囲の状態に応じて水分を吸ったり吐いたり、まるで生きているかのような断熱材といいます。この効果が適度な湿度をもたらし、結露を防いでくれるんですね。
インシュレーションボード
原料は解体された木造の建物の廃材や、木材加工場から出る端材などを利用していて、それを廃木材チップに加工し、ボード状に成形しています。
木材を再利用するエコの精神や、木の持つ調湿性などが人気の断熱材です。
インシュレーションボードは、断熱性はもちろん、吸放湿性や吸音性にも優れています。軽くて加工や施工がしやすいため重宝されています。
ロックウール(岩綿)
ロックウールは玄武岩や鉄炉スラグなどに石灰などを混ぜて、高温で溶かして生成された人造鉱物繊維。 建物の断熱材や吸音材としても使われています。 燃えにくい性質を持っているのでアスベストにとって代わる断熱材として広く使われるようになりました。
ロックウールは、加工がしやすく、ボード状、フェルト状、ブランケット状、ベルト状、パイプ状など色々な形態の種類のものがあります。
アスベスト(石綿)とは?
ロックウールが人造鉱物繊維ならばアスベストは天然の鉱物繊維です。アスベストは極めて細い繊維で、熱や摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくい性質なため、建材、摩擦材、シール断熱材など様々な種類の製品に使用されてきました。
しかし。
アスベストの健康被害
アスベストは目に見えないくらいの細い繊維、空気中に放出されると、消滅することなく長時間浮遊しているそうです。それを吸いこんでしまうと人の肺胞に沈着し、肺の組織内に長く滞留することで癌や、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがわかり、健康被害を訴えるものが工場の作業従事者だけでなくその家族や周辺の住人にまでおよび問題になりました。
日本では1975年9月から吹き付けアスベストの使用が禁止され、現在ではアスベストの製造、輸入、使用、譲渡、提供がすべて禁止されています。
炭化コルク
炭化コルクは、コルクチップを高温で焼き成形させた自然素材系断熱材。断熱性、吸音、防振効果も優れていて、コルクから染み出る樹脂で固められているため有害物質を含まない断熱材として人気があります。
炭化コルクは主にポルトガルで生産されており、ワインのコルクを作成した残りを利用して作られています。炭なので、空気浄化や調湿、などの効果は絶大ですよね。また、炭の匂いによりダニ等の活動を抑制する働きもあります。
羊毛断熱材
羊毛断熱材(ようもうだんねつさい)は、羊毛を使用して製造された断熱材なのでもちろん天然繊維です。綿やポリエステルのような可燃性の種類のものに比べて耐燃性があるので断熱材としても人気があります。
羊毛断熱材はグラスウールなどに比べてコストはかかりますが優れた調湿、透湿性が羊毛断熱材の最大の強みです。繊維自体に接着剤を使っていないので、発ガン性などの毒性がない、安全な素材でホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着し、空気を浄化する性質を持っています。
ホルムアルデヒドとは?
家の塗料や断熱材などの接着剤にもふくまれる「ホルムアルデヒド」は、「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つで、呼吸器系、目、のどなどの炎症の他、頭痛やめまいを引き起こす化学物質です。2009年には国際がん研究機関のモノグラムで、骨髄性白血病の原因物質として特定されています。
ウレタンフォーム
ウレタンフォームは、ポリウレタンフォームのこと。ポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒を混合してつくる、プラスチック発泡体の断熱材です。
ウレタンフォームの中でもいくつか種類があり、クマットレスなどに使われる、軟質ウレタンフォーム、車のバンパーなどの衝撃吸収に使われる、半硬質ウレタンフォーム、それと断熱材に使われる、硬質ウレタンフォームなどがあります。
硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは小さな泡の集合体でできた断熱材です。この泡は、一つ一つが独立した気泡になっており中に熱を伝えにくいガスが封じ込められているそうです。このために、硬質ウレタンフォームは長期にわたって優れた断熱性能を維持します。
フェノールフォーム
フェノールフォームはフェノール樹脂にさまざまな種類の変性を行い、発泡硬化させて作られたプラスチック系断熱材。
断熱性が高く、耐火性にも優れ、炎を当てても炭化するだけで煙や有害ガスがほとんど発生しないそうです。
ウレタンフォームに比べて、発泡に特定フロンガスを用いていないので環境ダメージが少く、経年変化が少ないのが特徴です。
ポリスチレンフォーム
ポリスチレンフォームはポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた断熱材です。他のボード状の断熱材に比べて柔軟性が高く、壁や柱の間などにも詰めやすいのが特長です。壁や床、屋根だけでなく配管カバーなど、断熱、防水と多彩な用途があります。
ポリスチレンフォームは主にビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と押出法ポリスチレンフォーム(XPS)の2種類があります。
ビーズ法ポリスチレンフォーム (EPS)
水や湿気に強く、軽くて緩衝性のある断熱材で、施工性にも優れています。「発泡スチロール」と呼ばれ、梱包材としても馴染みのあるものですね。
ボード状や筒状などさまざまな種類の形状に加工されています。
押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
断熱性能が高く、堅くて耐圧力があるボード状の断熱材です。外断熱に適した断熱材で、水に強く吸湿しにくいため基礎断熱でもよく使われています。発泡プラスチック系断熱材の種類の中ではコストも安価で多く普及しています。
発泡ゴム(FEF)
(FEF)とは軟質ゴム系発泡体のことで、スタッドレスタイヤなどにも使われている発泡ゴムです。原料に使われているゴムは天然ゴムや合成ゴムなどいろいろあります。建築物の断熱材として使われることはほとんどありませんが防水性や保湿保冷に優れています。
断熱材の使い方として、外張り断熱 と 充填断熱 の二種類があります。近年、日本では外張り断熱が多く扱われるようになりました。しかしいずれの工法もメリットデメリットをしっかりおさえてその土地柄や建材にあった施工を行えば断熱効果は期待できます。外張り断熱 と 充填断熱 、二種類の特徴を調べてみました。
外張り断熱とは
外張り断熱は一般的に プラスチック系の板状断熱材 で建物の外側(家全体)を包み込むような断熱工法で、外気温の影響を受けにくくなり室内の冷暖房効率も高まります。
充填断熱は?
木造建築では一般的な断熱工法で柱などの空間に断熱材を詰め込んで断熱する方法。壁の内側の空間を利用するので、新たに断熱用のスペースをつくる必要がなく、外張り断熱より低コストです。
二種類のメリット、デメリットは?
外張り断熱は充填断熱のように柱と柱の間に断熱材を詰めないので室内側の柱と柱の間は空間として利用できるため室内空間が広くとれます。また、外の雑音や雨音など建物内に入りにくくなるメリットがあります。その分、家の中の音はよく聞こえるようになりカーペットなどでの工夫があるといいですね。
デメリットは断熱材の上に外壁を設置することになるので断熱材と外壁の固定がしっかりと行なわれていないと、経年劣化や地震などで外壁が剥がれてしまう心配があります。充填断熱よりもコストが高いこともあり、コストを抑えるために手抜きとなるようなことが無いよう施工業者選びもポイントになります。
逆に充填断熱は外張り断熱のように外側の敷地面積に影響を与えません、さらに充填断熱工法で使用されるのは、外張断熱で使用されている発泡プラスチックに比べグラスウールなどの「火に強い断熱材」なので火災時には壁の中に火流が走るのを防ぎ、延焼を遅らせます。
デメリットは断熱材を柱の間に入れて施工するため、断熱材が途切る箇所ができてしまい、断熱性能がやや劣ります。より気密性を高めるためには別途工事が必要になることもあります。
いかがでしたか?断熱材の種類もいろいろあるんですね。断熱材の種類によって断熱効果や工法も変わるのでなかなかどれにすればいいのか素人目にはわかりませんよね。ですがすべてを施工業者さんに任せるのではなく話し合いで質問や意見が言えるように断熱材の種類を知っておくのも重要だなと思いました。