2016/04/06 更新
春からそろそろ蜂の動きがはじまる。注目すべき蜂の巣の種類
蜂といえば、針を持っていて人を刺す危険な生き物、というイメージがあります。でも蜂の種類は蜂の巣に近寄らなければまず攻撃してきませんし、蜂のおかげで子孫を増やしている植物が何万もいます。蜂の巣の種類を正しく見分けて、蜂の生態を見守りましょう。
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蜂と一口に言っても、実にいろんな種類があります。巣について大きく2つに分けると、自分だけで小さな巣を作る蜂と、女王を中心に集団で巣を大きくしていく蜂に分かれます。そして95%の蜂は意外にも、このクマバチのように一人暮らし。攻撃性もほとんどありません。
集団で巣を作る蜂の種類では、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチがよく知られています。この蜂たちには、守らなければならないものがあります。女王と食料と子孫がある共同の巣です。だから針を発達させ、人がうっかり近づくと攻撃してくることもあるのです。
いちばん普通に見かけるスズメバチです。集団で蜂の巣を作る種類。大きさは2.5cmぐらいで中型。特に凶暴ということはないですが、急に周りを飛び回って歯をカチカチいわせはじめたら警告なので、刺激しないように立ち去ってください。
このトックリ型の蜂の巣は、4月に冬眠から覚めた女王蜂が、一人で作り上げたものです。けっこう立派ですよね。この蜂の巣をせっせと作っている5月半ばから6月までは、1匹だけなので危険はありません。
女王蜂が巣を完成させて働き蜂を育てると、7月からだんだん数が増えて、蜂の巣も球形になっていき、持ってくる材料の色で縞ができてきます。出入り口は下に1つ、横向きにあいていて、蜂はたいてい巣の中で働いています。
これも普通によくみかける種類のスズメバチです。黄色の地に黒の縞がありますが、飛ぶとオレンジ色に見えます。気が強く攻撃性があるので、注意が必要。
キイロスズメバチは、コガタスズメバチと似た縞模様の蜂の巣を、開けたところでは枝や軒先に、暗いところでは屋根裏や壁の中などに作ります。もっとも蜂の数が増えるのは8月以降で、12月初めぐらいまで活動します。
この種類はヒメという名がついている割には大きくて、体長が24~37mmあります。腹の先が黒いのが他のスズメバチと違う特徴。すぐカチカチおどしてきますが、実はおとなしく、ほとんど刺しません。
おとなしいヒメスズメバチは群れも小さく、100匹ほどで床下や木の洞などの閉鎖空間に小型の巣を作ります。蜂の巣の形がちょっと変わっていて、昔の電灯の笠みたいに下が開いています。
活動期間は短く、9月にはもう蜂の巣は空っぽです。
21~28mmの中型サイズ。5月から11月まで活動します。幼虫のえさとしてセミやトンボなどを狩り、攻撃性は強いほうで注意が必要。また、キイロスズメバチと同じように、蜂の巣が狭くなると急に引っ越して、他所で大きな巣を作る習性があります。
モンスズメバチは天井裏や戸袋、木の洞などの閉鎖空間に蜂の巣を作りますが、たまに軒下に営巣します。巣の形が変わっていて、鐘のように下が開いています。えさ運びするときにカスを通り道に捨てるため、天上にシミができて屋根裏に蜂の巣があるのがわかることがあります。
この種類は体長が27~40mmある大型の蜂で、スズメバチの中では最大です。気性が荒く注意が必要ですが、寺や林の木の洞とか、土の中に蜂の巣を作ることが多く、あまり目につきません。ただ、この蜂の巣は見つけにくいので、山林を歩くときには気をつけて、大きな蜂が群れていたらすぐ遠ざかりましょう。
オオアシナガバチが蜂の巣を作るのは、地面の中や木の洞などの閉鎖空間です。巣は皮が薄く、底がついていないのが特徴です。
実はアシナガバチの種類もスズメバチの親戚です。ただスズメバチほど攻撃性はなく、特にこのセグロアシナガバチは25mmほどと大きめですがおとなしいので、蜂の巣の駆除はできればやらないでください。
街中でごく普通に見られる種類の蜂の巣です。4月半ば頃から家の軒下や木の枝などに、せっせと巣を作っています.蜂の巣の材料は、家の柱や板壁,杭などの表面を削り取って運んできたものです.
セグロアシナガバチと同じぐらいの大きさの種類。背中にブタ鼻模様があるので見分けがつきます。セグロアシナガバチよりやや攻撃的。
この蜂の種類は、蜂の巣というと誰もが思い浮かべるような、円錐形に整った巣を作り上げます。アシナガバチの女王は木の割れ目や石の隙間、時によっては巣の中で冬眠しながら冬を過ごすので、この立派な巣も冬眠の場所になるのかもしれませんね。
よく見かけるアシナガバチの1種類で、攻撃性はそれほどありません。ただ、干した洗濯物に付いたままで取り込まれてしまうことがあるため注意してください。気づかずにさわると刺されることがあります。
釣り合いのいい円錐形の蜂の巣を作ります。4月半ば頃から家の軒先や木の枝などに巣をかけるので、子供が手を出したりしないよう注意しましょう。
この種類は体長が11~17mmぐらいで、一番小型のアシナガバチです。でも気は強いので少し注意。日当たりのいい岩や人家、木の細い枝などに蜂の巣を作ります。
小型の種類ですが、作る蜂の巣は大きく、500巣室のものを作ったという記録があります。巣は一定方向に伸びていき、大きくなると反り返った形になります。
ほっそりしていて弱々しい蜂です。ササバチとも呼ばれ、里山や低い山に住んでいます。蜂の巣は葉の裏や木の枝などに作ります。あまり危険はないですが、手は出さないでください。
こんな細長い感じの蜂の巣を作ります。支える軸が太くてしっかりしているのが特徴です。枝のわりと低いところに作ることが多いようです。
体長14~18mmのわりと小型のアシナガバチ。コアシナガバチとよく間違えられますが、この種類は低山に住んでいます。蜂の巣を作るのは小枝か葉の裏。
小型の蜂の巣を作ります。このように幼虫の作る繭の色が黄色っぽいのが特徴です。それ以外はあまり人目につく種類の蜂ではありません。
これはスズバチ(ドロバチ科)という種類の蜂の巣。この蜂は単独で生活します。体長が18~30㎜ある大形のトックリバチで、体は黒。独特の橙色の模様があります。岩の凹みなどに泥でつぼ状の巣を10個ほど固めて作り、鱗翅目の幼虫を入れて餌を運びます。
ヤブガラシに止まるニホンミツバチです。腹部の模様が黒と黄色の縞ですが、セイヨウミツバチの種類は胸のあたりが黄色。ニホンミツバチはセイヨウミツバチほど大量の蜜を作らないけれど、穏やかでめったに刺さないため、趣味で飼う人が最近増えています。
これは珍しく戸外に作られたニホンミツバチの蜂の巣。自然だとこういう構造になるんですね。ただし、外はスズメバチの攻撃を受けやすいため、普通は木の洞や石垣の隙間などの狭い空間に蜂の巣を作ります。そして、攻めてきたスズメバチを集団で包囲して、体の熱で蒸し殺します。これができるのはニホンミツバチだけです。
いかがでしたか? 一口に蜂といっても、日本だけで4000種類、世界ではなんと20万種類もいるという昆虫なので、ここでご紹介できたのは身近にいるごくごく一部ですが、それでも相手を知って接すれば思ったほど危険ではないとわかってもらえたと思います。夏の8月から9月の子育ての時期が一番あぶないので、そのときにこの巣の見分け方が役に立てばうれしいです。