2016/02/08
まろまろんまま
2016/05/23 更新
ステンレスは、(腐食に)強く、(外見が)美しく、(強度に)優れた三拍子揃った素材です。身の回りでもよく見かける、種類豊富で欠かすことのできない存在です。そんなさびないはずのステンレス製品、さびさせたことありませんか?ステンレスの種類と大敵のことをご紹介します。
ステンレスいまや生活になくてはならない素材です。普及した理由は、腐食に強く、外見が美しく、強度に優れるという三拍子そろった特性によるものです。
ステンレスは英語でstainless steelと言い、直訳すればステンレス鋼となり、これが日本での正式名称となります。stainlessとは「さびない」と言う意味です。厳密には「さびにくい」という意味も含まれます。
ステンレスは1912年に発明され、「さびて汚れない(Stainless)鋼」と名付けられました。現在、ステンレス鋼の種類は100種以上あるといわれています。
日本ではかつて「不銹鋼(フシュウコウ)」という名で呼ばれていましたが、最近では「ステンレス鋼」で一般に呼ばれています。
ステンレスとは、鉄(Fe)を主成分(50%以上)にして、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金このとをいいます。ステンレスは近年、他の材料に比較すると使用量が急激に伸びています。
ステンレスの使用量の増加は、ステンレス素材のもつ特性のすばらしさによります。ステンレスの用途が拡大していること、製造技術・加工技術の向上の相互作用も市場を活性化しています。
さびやすい鉄にクロムを添加していくことで、さびにくくなっていきます。クロムを10.5%以上添加してさびにくくなったものをステンレス鋼といっています。
ステンレス鋼は耐蝕性のほかにも 耐熱性・加工性・強度など優れた特性を備えています。意匠性にも優れ、メンテナンスが容易なことも大きな特徴です。
環境にやさしいものへ社会の関心が高まるなか、100%リサイクルが可能なステンレスは高く評価され、注目されています。
ステンレス鋼はもとになる鋼材のJIS規格(耐熱鋼規格を含む)だけでも、100種類以上の種類があります。各社が開発した独自の鋼種も数多く、裏蓋がステンレス時計など適した用途に使い分けられています。
さびないという名前のステンレス鋼は、一般の鋼に比較すると極めて優れた耐蝕性のある材料です。しかし特定の環境、使用条件の下では「さびる」こともあります。正しい使い方をする事が大切です。
「鉄はさびる」、「ステンレス鋼はさびない」といいますが、「さび」とはなんでしょう。さびは「酸化被膜」のことで、金属が酸素などと化合した化合物のことをいいます。
よく目にするさびは、十円玉のような銅の場合緑青色の酸化被膜ができ、鉄の場合は赤茶色の酸化被膜ができるということになります。
正確に言うと、ステンレス鋼の場合は「さびない」のではなく、その表面にできる酸化被膜、一種のさびである透明で薄い膜が安定して茶色などのさび色に変化しない状態になっているのです。
アルミニウムの場合、ごく薄い緻密な無色透明な皮膜の酸化被膜ができます。しかも地金に固く密着する特性があります。クロム、ニッケルなども同様です。
鉄にクロムを添加すると、クロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜 (不動態皮膜)を生成します。これを利用したのがステンレスです。
クロムを添加されたステンレスの不動態皮膜がさびの進行を防ぎます。不動態皮膜は、100万分の3mm程度のごく薄いものです。
ステンレスの不動態皮膜は、大変強靭で一度破壊されても周囲に酸素があれば自動的に再生機能をもっています。
使われる環境や使い方によって、ステンレスも腐食することがあります。適切なお手入れなどの使用上の注意によって、長期にわたり機能を失うことなく輝いたまま使用することができます。
ステンレス鋼は組織と成分(特にクロムの含有率)からおおまかに3種類に分けられます。一般に、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の順に錆びにくく上等とされています。
強度から見るとその反対にマルテンサイト系が最も強く、オーステナイト系が最も劣ります。
マルテンサイト系と言われる種類の代表的組織は、13%クロムです。J.I.S:SUS410。耐蝕性は脆弱、磁性が有ります。熱処理により硬化する特性があります。
種類1の通称13クロムステンレスの用途は、ボルト、ナット、ネジ、手動工具、釣り道具、刃物、はさみに使用されています。
フェライト系と言われる種類の代表的組織は、18%クロムです。J.I.S:SUS430。耐蝕性は、良、磁性が有ります。熱処理により硬化しません。
種類2の通称18クロムステンレスの用途は、建築金物、蝶番、手すり、屋根ふき材、レンジフード、熱交換器などです。
オーステナイト系と言われる種類の代表的組織は、18%クロムと8%ニッケルです。J.I.S:SUS304。耐蝕性に優ぐれ、磁性がありません。熱処理により硬化しません。
種類3のオーステナイト系は、炭素含有量が少なく、加工性・溶接性・耐蝕性が良好で最も広く用いられています。用途は、建築金物、自動車車輌、工業、化学工業、原子力工業などです。
ステンレスの種類でご紹介したように、鉄にクロムを含有した比率でステンレスの強度や耐蝕性(さびにくさ)が変わっています。
ステンレスはクロム含有率の種類によらず、不動態化被膜によって保護されていて中性の水溶液や、酸化性の酸液中なら殆ど腐食は発生しません。
しかし、大敵もいます。もっとも強度の優れた種類のステンレスであっても、ハロゲン元素、特に塩素イオンが存在すると、表面を保護している被膜が急速に破壊され穴(孔食)や応力腐食割れが発生する重大な問題を抱えています。
すべての種類のステンレスにとって塩分と鉄分は宿命の大敵といっても過言ではありません。塩化物を配合した製品や、鉄製のものは避けなくてはいけないのです。
特にクロムの含有率が低めの種類のステンレスでは、鉄製品との長時間の接触により、「もらいさび」と呼ばれているステンレス特有のさびが発生します。
ステンレスの種類によっては、。耐蝕性に差があります。しかし、大敵はすべてのステンレスの種類に共通しています。
(1)不動態化被膜が破壊されてしまった箇所は、電解法(焼け取りなど)で不動態化被膜を再生する必要があります。(専門業者にお任せするしかありません)
(2)普段から鉄との接触を避けるよう心がけましょう。
(3)鉄や塩分の付着を防止、除去の徹底が必要です。塩分はとにかく小まめに洗い流すことが大切です。
ステンレスの種類によってさびた時に使うお手入れ剤も違います。食器用などのマイルドな酸を使用しているものは、フェライト系ステンレスのもらいさび除去用として使用されています。
中性のさび取り剤は、さびを溶かし地金を侵食しません。ステンレス種類のフェライト系やオーステナイト系両の種類に使用できます。
身の回りで代表的なステンレスというと、水回りのものですね。特にキッチンのシンク。お手入れでステンレスにやってはいけないこと、やっていませんか?
ステンレスが種類を問わずさびにくいのは、表面に薄い耐食性を持つ膜不動態皮膜)があるからとご紹介して参りました。そして、この皮膜の再生には酸素が必要です。これが妨げられたときに、さびが発生するのです。
さびが発生した時は、市販のステンレスクリーナーでさびを落とせば元通りの表面に戻ります。それでもさびが落ちない時は、クリームクレンザーなどを布や水で濡らしたスポンジなどにつけ、ステンレスの目に沿って磨きましょう。目がないものは、一方の方向に向かって磨きます。
ステンレスは種類を問わず、空気中の酸素や窒素と化合して、徐々に硬くて丈夫な皮膜を作ります。毎日のお手入れで、クレンザーなどで磨いてしまうと窒化物も一緒に取れ磨けば磨くほどキズがつき、汚れやすくなります。
製品化が最も普及しているステンレスの種類の製品、特に水回りはステンレスが欠かせません。ステンレスの一番の大敵は塩素イオンです。
塩素イオン?ふ~んと聞き流してはいけません。ステンレスの種類で耐食性に優れていると言っても、塩気のついた漬物容器、梅干など塩分のあるものをシンクに放置していませんか?絶対にNGです。またブリーチ、ハイターなどの次亜塩素酸ソーダの漂白も、直接触れないように漬け置きには注意しましょう。
普段の手入れは、汚れだけ水でふき取ります。油汚れのひどい時は、スポンジにクレンザーをもみ込み、中性洗剤か住まい用の洗剤を少し落としてふく程度。仕上げに水を絞った布でふけばきれいになります。
洗剤で取れないひどい汚れの時は、クレンザーをふりかけて大根やリンゴの切れ端でこするとステンレスをいためることなくきれいにできます。
身近にあるステンレスの種類とお手入れをご紹介しました。いかがでしたか?さびないステンレスがさびた時、日頃のお手入れ、お役に立てたでしょうか?
この記事に関する記事
キーワードから記事を探す
Copyright© 運営事務局