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ため息が出るほどの美しさ…新品種のバラをまとめてご紹介します

古くから品種改良が進められ、園芸品種だけでも万を超える数があるバラ。現在も毎年多くの品種が生み出されています。近年は園芸技術の進歩や嗜好の多様化などで、従来にはない斬新な色や形を持つバラも作出されています。今回はそんな新品種のバラをまとめてご紹介します!

途方もない数の品種と名前がある薔薇

バラは万を超える品種を誇る花

バラは元々原種の数が多い植物です。加えて交配の歴史も古いため、園芸品種として登録されているものだけでも4万種以上あると言われています。

さらに毎年新品種が作出され、一方で淘汰される品種もありますから、世界にバラの品種がどれだけあるのか、正確に把握するのは不可能だとさえ言われています。

この品種の多さは、それだけバラがたくさんの人達に愛されてきた花だという事です。より美しく、より香り高くと、たくさんのバラを愛する人達がより素晴らしい花を求めた結果だと言えます。

バラの品種を一覧でご紹介

最近のバラは従来にはない魅力がいっぱい!

長い交配の歴史の中で磨かれた園芸技術、好みの多様化、時代の流行などの影響を受けた現代のバラは、従来にはない斬新な色や形の品種が次々と生み出されていく事になりました。

さらには近年のガーデニングブームもあって、初心者でも育てやすい、耐病性の高い品種が生み出されるようになりました。ここでは、そんな魅力溢れる新品種のバラ達をご紹介していきます。

フランスの新品種のバラ達

フランスのバラ文化は長く、品種改良の歴史にも大きく関わっています。実は現代のバラの品種改良技術の礎を築いたのは、フランスの皇后だった女性なのです。

現在のバラの基礎を築いたジョセフィーヌ

かのフランス皇帝ナポレオンの最初の妃ジョセフィーヌ。は、バラの愛好家としても当時から非常に有名な人でした。それが高じて現在のバラの基礎を築くに至ったのです。

ジョセフィーヌはパリ郊外のマルメゾン宮殿の庭に古今東西、当時収集できる限りのバラを集めさせました。それだけでは終わらず、さらにたくさんの新しい品種を生み出しました。これがフランスのバラ育種発展の礎となったのです。

ロゼ・ピエール・ドゥ・ロンサール

「バラの殿堂」入りを果たしている大人気のつるバラ”ピエール・ドゥ・ロンサール”の枝変わりです。

華やかなローズピンクの大輪で返り咲きです。樹の性質は元親の”ピエール・ドゥ・ロンサール”とほぼ同じで、とても扱いやすいつるバラです。日本でも非常に人気が高いつるバラで、初心者にもおすすめな品種です。

他にも同じ枝変わり品種で、クリームホワイトの”ブラン・ピエール・ドゥ・ロンサール”、別の交配系統でクリムゾンレッドの”ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサール”があります。どちらも人気が高いつるバラです。

プリンセス・シャルレーヌ・ドゥ・モナコ

2014年にモナコ公国のシャルレーヌ大公妃に捧げられたバラで、日本では2015年に発表されました。アプリコットピンクに黄色が微妙に混じる花色で、花径11cmの豪華な大輪です。

とても甘美で強い香りがあり、3つの国際コンクールで芳香賞を受賞しています。フランスのバラらしい豪華で優美な花と素晴らしい芳香から、日本でも人気の高い品種です。

エドゥアール・マネ

2016年春に発表した新品種がこの”エドゥアール・マネ”。「ペインターシリーズ」と呼ばれている、画家の名前を冠したバラの最新作です。

黄色とピンクの絞りが個性的なバラで、花径は約8cmの中大輪。香りはバラにチェリーとモスの香りが混じったような強く甘い香りです。トゲが少なくてしなやかな枝なので、とても扱いやすく日本でも非常に人気があります。

ラ・レーヌ・ドゥ・ラ・ニュイ

濃赤色~ピンク色に赤茶色の絞りが加わる強烈な色彩が目を引きます。香りは弱いですが耐病性が非常に高く、初心者でも安心して育てられます。

樹高は1.5mの中型シュラブで、トゲが少ないので扱いやすい品種です。

バランゴ

”バランゴ”は、白に明るいピンクの絞りが入った花がとても印象的なバラです。名前はフランスロワール地方の伝統的なキャンディー菓子に由来しています。香りもラズベリーのような甘い香りです。

樹高は1.0~1.4mと、とてもコンパクトにまとまる木立性で、鉢植えにも適しています。花径は8cmの中輪房咲きで、満開時はお庭を甘く明るく彩ってくれますよ。

ドイツの新品種のバラ達

強健で美麗なバラが魅力的

ドイツのバラの特徴は、寒い地域が多いヨーロッパの事情に対応した耐寒性と、耐病性が高くて丈夫な品種が多い事です。

戦前の赤バラの代表品種”クリムソングローリー”や青バラの名花”ブルームーン”など、今もなお多くのバラ愛好家を魅了するこれらのバラもドイツで作出されました。

ステファニー・グッテンベルク

”ステファニー・グッテンベルク”は、日本では2015年の春に発表された新品種です。樹高約0.8mのコンパクトな株に、アイボリーホワイトにソフトピンクやアプリコットが混じる優しい雰囲気のバラです。耐病性が高く、日本でも人気が高い品種です。

クリスティアーナ

”クリスティアーナ”はビュアホワイトで中央にピンクがさす上品な花と、レモンを思わせるフレッシュで甘美な芳香、そして高い耐病性で人気の新品種です。

2013年に作出され、日本でも人気品種となりました。細めの枝が1.8m~2.0mに伸びるつる性のバラです。

カインダブルー

濃く深みのあるモーブ色の大輪花が、房になって咲く姿が大きな特徴です。樹高は1.2mで、香りは強くありませんが、ティー系の優しい香りがします。

紫系のバラ、通称「青バラ」は他の花色のバラと比べると育てにくい品種が多く、初心者向けでないとされています。しかし、この”カインダブルー”は黒星病・うどんこ病に強く、初めて青バラを育てる場合にもおすすめの品種です。

イギリスの新品種のバラ達

世界中のバラに影響を与えたイングリッシュローズ

バラを国花とし、ガーデニングをこよなく愛する国民が多い国イギリスでは、当然バラの栽培も盛んで、他の植物と相性の良いものが好まれている傾向があります。そんな中で誕生したのが、「イングリッシュローズ」です。

優雅な花形・芳香・丈夫さと、豊富な花色や耐病性など、それぞれの長所を併せ持った新しいバラは、世界中のバラに少なからぬ影響を与えました。イングリッシュローズは日本でも大人気で、毎年その新品種に大きな期待が寄せられています。

ロアルド・ダール

映画にもなった『チャーリーとチョコレート工場』の作家ロアルド・ダールの生誕100周年を記念して命名されました。オレンジレッドの蕾から咲き進んでいくと、ピーチ色に変化します。開花連続性に優れ、次々と花を咲かせます。

強香というほどの香りはありませんが、心地よいティー香がします。樹高1.2mのシュラブで、枝にはトゲがほとんどありません。強健で耐候性が高く、育てやすい品種です。

イモージェン

名前の由来はシェイクスピアの戯曲『シンベリン』に登場する男装の麗人からつけられました。爽やかなソフトレモン色の花色は、咲き進むにつれて淡いクリーム色に変化します。

香りは「瑞々しいリンゴのよう」と評される軽やかで心地よい香りで、樹高は約1.2mほどになります。見た目は可憐な花ですが、性質は強健で育てやすいバラですよ。

スージー

スージーは最初は鮮やかなゴールデンイエローで、咲き進むと淡いピンクに変化する中輪花です。強くて甘い、柑橘系にローズの香りがします。

1.8~2.8mまで伸びるつる性で、フェンスやポール、トレリスなどに誘引して楽しむ事ができます。

スノー・ストーム

”スノー・ストーム”は花径8cmの白色の中輪花が房咲きになるつるバラです。白色系は雨に当たると痛みやすい弱点がありますが、この”スノー・ストーム”は雨に強く、ほとんど痛む事がありません。

春以降もよく返り咲きます。あまり強くありませんが、スパイシーな芳香もあります。樹勢は強く、枝の伸長は2.5mほど。枝はやや細めでしなやかなので誘引しやすく、耐病性も高いので、初心者でも育てやすいつるバラです。

日本の新品種のバラ達

西洋のバラとはまた異なる美と個性

日本のバラは西洋のバラと比べると、複雑な花色と柔らかな芳香を持つ、繊細な造形をした品種が多くあります。またコンパクトな品種が好まれ、高温多湿な日本の気候を考慮して、耐暑性や耐病性の高さも重要視されています。

春乃

2015年に発表された”春乃”は「宿りして 春の山辺に 寝たる夜は 夢のうちにも 花ぞ散りける」という紀貫之の和歌から名付けられました。

花つきが良く、誰からも好まれる桜ピンク色の中大輪花を株いっぱいに咲かせます。ティー系の香りも素晴らしく、樹高は1.2mほどです。トゲも少なくて扱いやすいバラです。

ライラ

”ライラ”という名前はアラビア語で「夜」を意味します。”ライラ”は特徴的な花びらと花形、紫が混じる黒赤色が妖艶な魅力を醸し出すバラです。高温期は赤みが、低温期は紫みが強くなります。

ダマスクスの香りにライチなどの南国のフルーツの香りが混じる強香を持ち、樹高は1.4mほどの木立性よりのシュラブで、耐病性が高く生育旺盛な強健種。初心者でも育てやすいバラです。

オルフェオ

名前はギリシャ神話の竪琴の名手オルフェオ(オルフェウス)に由来しています。花びらの内側が紫、外側が白という珍しいバイカラーのバラです。

ダマスクスにフルーツとスパイスが混じる甘く強い香りもあいまって、とても神秘的な雰囲気のバラです。枝は細く、樹高も約1.0mとコンパクト。繊細そうに見えますが、耐病性は高く育てやすい品種です。

エウリディーチェ

オルフェオの最愛の妻の名前が由来となっています。優しいパウダリーピンクの花色と、ダマスクスとブルー系の透明感のある芳香が特徴です。

耐病性が高くてよく育つバラです。樹高は1.2mで花もちも良いので、切り花にしてお部屋に飾るのもおすすめですよ。

サフィレット

生成りのような白に淡い紫ピンクや茶色がかかる微妙な色合いが個性的なバラです。名前の由来はチェコのアンティークガラスの「サフィレット」から付けられました。樹高0.8m~1.2mとコンパクトなので、鉢植えにも向いています。

樹高0.8m~1.2mとコンパクトなので、鉢植えにも向いています。香りはほのかですが、空気に溶け込むような柔らかで優しい色合いと、ふんわりとした花形が何とも言えない魅力に溢れたバラです。

シュクレ

”シュクレ”とは、フランス語で「砂糖」の事です。クリーム色~ピンクのグラデーションのコロコロとした可愛いカップ咲きの花に甘い香りがします。樹高も70cm~1.0mと、とてもコンパクトにまとまっています。

台湾の新品種のバラ達

抜群の耐暑性が特徴のバラ

台湾作出の新品種のバラの一番の特徴は、何と言っても高い耐暑性にあります。日本よりもさらに暑い国で作られるため、夏でも良い花を咲かせる品種が多いのです。台湾でのバラの育種は、まだそれほど盛んではありませんが、枝変わりの品種がとても多いのが特徴です。

宝玉 (ほうぎょく)

”宝玉”の名前は、中国清時代の長篇小説『紅楼夢』の主人公に由来しています。ブルー系の強く上品な香りに、赤みがかった紫の波打つ花びらが幾重にも重なって咲く、独特の気品があるバラです。

樹高は1.2mとコンパクトなので、鉢植えや狭いスペースにも向いています。耐暑性は高いのですが、耐寒性や耐陰性はあまり高くないので、日当たりの良い場所で育てましょう。

黛玉 (たいぎょく)

”黛玉”は”宝玉”の枝変わり品種です。名前は『紅楼夢』の主人公が思いを寄せるヒロインから名付けられました。グレイトーンに淡い紫、ピンク、茶色が含まれる繊細で複雑な花色、甘いブルー系の芳香がとても上品な雰囲気のバラです。

元親の”宝玉”よりもやや花が大き目な事を除くと、性質はほぼ同じです。耐暑性も高く、夏でも良い花を咲かせてくれます。

新品種のバラ達・まとめ

新品種のバラを色々と見てきましたが、いかがでしたでしょうか?新しい品種に絞っても、今回ご紹介したバラはほんの一部に過ぎません。魅力的な新しいバラはこの他にもまだまだたくさんありますよ。ぜひ新しい美に触れてみて下さいね。

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