記事ID85372のサムネイル画像

【園芸】大人気の庭園樹!ヤマボウシを育ててみよう【育て方】

今回はヤマボウシの育て方についてご紹介します!街路樹や公園樹としても広く利用されているヤマボウシ。派手さはありませんが、育て方が容易で、和洋どちらの庭にも合う事からシンボルツリーとして人気が高い樹木です。秋には甘い果実が取れるのも大きな魅力!

ヤマボウシとは

まずはヤマボウシについて、簡単にご紹介します。

ヤマボウシとは

ヤマボウシはミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木で、「山法師」または「山帽子」などと漢字表記される事もあります。

本州、四国、九州や朝鮮半島、中国に分布し、庭園樹、公園樹、街路樹などに利用されています。

ヤマボウシの材質

ヤマボウシの材は器具材として用いられていました。

粘りがあって堅い材質から、主に木槌や杵、水車の歯車などに加工されて利用されていたそうです。

そのため各地に色々な方言名が残っており、古くから日本で親しまれてきた歴史を持つ樹木である事が分かります。

ヤマボウシの人気の理由

ヤマボウシの花

ヤマボウシの開花時期

ヤマボウシの開花時期は6月中旬~7月中旬です。先の尖った白い花びらを4枚持った花を、枝一杯に咲かせます。

正確には、花びらの部分は「総苞(そうほう)」と呼ばれている葉に近いもので、本体は花の中心にある黄緑色の球形部分です。

ヤマボウシの花名の由来は、4枚の白い花びらが法師が被っている白い頭巾に
似ている事からきています。

基本種は白い花ですが、紅色の花をつける品種もあります。

ヤマボウシの果実

ヤマボウシの果実

ヤマボウシは夏の終わりから秋にかけて、赤く熟する実をつけます。

果実は直径1~3cmほどの大きさで、少しトゲのある独特の形状をしています。

果肉は食べられます。黄色~オレンジ色でマンゴーのような甘さがあり、シャリシャリとした食感があります。

ジャムや果実酒にも

ヤマボウシの果実は、そのまま生で食べても良いのですが、ジャムや果実酒などの加工にも向いています。

ヤマボウシの果実には、ビタミンやカロチン、アントシアニンなどが含まれており、滋養強壮や疲労回復の効能があるとされています。

また、ヤマボウシの果実を乾燥させてから食べると、
下痢や腹痛にも効果があるそうですよ。

ヤマボウシの紅葉

ヤマボウシの紅葉

ヤマボウシは気候にもよりますが、11月上旬頃には紅葉します。

春から初夏にかけて咲く花も葉の緑とのコントラストが美しいですが、晩秋の紅葉も鮮やかな赤で、見応えがあって美しいですよ。

花・果実・紅葉と、ほぼ一年中楽しめる樹木。
人気が高いのも頷けますね!

古くから人気の高い樹木だったヤマボウシ。
江戸時代には既に、海外で観賞用樹木として栽培されていたそうです。

ヤマボウシの近縁種

ハナミズキ

ヤマボウシと同じく庭園樹として高い人気を誇る花木ハナミズキ。実はヤマボウシの近縁種なのです。

そのため、ヤマボウシとハナミズキとを混同する方も多いのですが、ヤマボウシは日本が原産地であるのに対して、ハナミズキはアメリカからの外来種。

見た目や性質が似ているようでも、細かいところで異なっています。

花びら、正確には総苞の形状にも細かな違いがあり、
ヤマボウシの総苞は先端が尖っているのに対し、
ハナミズキの総苞は丸みを帯びています。

樹皮も異なります。ヤマボウシの樹皮は、うろこ状に剥がれるため斑模様なのですが、
ハナミズキの樹皮は細かいひび割れが覆っているような模様となっています。

ヤマボウシの育て方

それでは、ここからヤマボウシの育て方のポイントを
ご紹介します。

ヤマボウシの育て方のポイント①

ヤマボウシの育て方のポイント① 日当たり

ヤマボウシの育て方のポイント①は、日当たりの良い場所で育てる事です。

午前中の光をたっぷり浴びる事ができて、強い西日が当たらない場所がベスト。

地植えの場合、ヤマボウシは5m~10mほど生長する高木ですので、スペースを広めに取っておきましょう。

紅色の花をつける品種は、十分に日に当てる事によって、
発色が美しくなります。

ヤマボウシの育て方のポイント②

ヤマボウシの育て方のポイント② 水やり

ヤマボウシの育て方のポイント②は水やりです。ヤマボウシは乾燥を好み、過湿を嫌う樹木ですので、乾燥気味に管理するのがコツです。

地植えの場合は、一度根付けば水やりの必要はほぼありません。

ただし、夏場に極度の乾燥状態になった時などは、表面の土を掘って
根元まで染み込むように水をたっぷりと与えます。

鉢植えの場合は、春~秋は定期的に水を与えます。
表面の土が乾いたら、鉢底から水が出るくらい
たっぷりと水やりをします。

冬は休眠期ですので、水やりの回数を減らし、
乾かし気味に管理します。

梅雨時は多湿になるため、根腐れしないように注意します。

ヤマボウシの育て方のポイント③

ヤマボウシの育て方のポイント③ 肥料

ヤマボウシの育て方のポイント③は肥料です。

休眠期にあたる冬、1月~2月頃に寒肥として、油粕と骨粉を同量混ぜたものなど遅効性の有機質肥料を適量、株元に施します。

鉢植えの場合はそれに加えて、花後と落葉前の紅葉の時期に
お礼肥としてそれぞれ1回ずつ、化成肥料を適量施しておきましょう。

ヤマボウシの育て方のポイント④

ヤマボウシの育て方のポイント④ 用土

ヤマボウシの育て方のポイント④が用土です。過湿を嫌うヤマボウシには、水はけの良い土が適しています。

地植えの場合は、植える場所に堆肥や腐葉土を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6~7:腐葉土3~4の配合土を使用します。

ヤマボウシの育て方のポイント⑤

ヤマボウシの育て方のポイント⑤ 植え付け・植え替え

ヤマボウシの育て方のポイント⑤は、植え付けと植え替えです。

植え付けの時期は11月~12月、もしくは2月下旬~3月が適期です。厳寒期にあたる1月~2月中旬は避けます。

地植えの場合は水はけを考え、やや山高に植え付けて、根を乾かさないように株元を藁や腐葉土などで覆います。

鉢植えの場合は、用意した鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷き、
苗木の根鉢を少し崩してから鉢に入れ、用土を入れて植え付けます。

根鉢を崩す時は、根を切らないように優しく崩す事と、ウォータースペースを
作っておく事が、鉢に植え付ける時のポイントです。

植え付け後は水をたっぷりと与え、支柱を添えておきます。

鉢植えの植え替えの適期も同じです。
2~3年に1回は植え替えを行いましょう。

ヤマボウシの育て方のポイント⑥

ヤマボウシの育て方のポイント⑥ 病害虫

ヤマボウシの育て方のポイント⑥は病害虫です。

病気は、梅雨時などの多湿な時期はうどんこ病に注意します。
放っておくと樹が弱ってしまうので、殺菌剤を散布して、早めに撃退しましょう。

害虫はアブラムシやカイガラムシ、カミキリムシに要注意です。

ヤマボウシの育て方のポイント⑦

ヤマボウシの育て方のポイント⑦ 剪定

ヤマボウシの育て方のポイント⑦は、剪定です。

ヤマボウシは放っておいても、自然に樹形が整う樹です。地植えでスペースにも余裕がある場合は、剪定は必要ありません。

枯れた枝を取り除く、株元から勢いよく伸び出てくる枝を切るといった最小限のメンテナンスで十分です。

ヤマボウシの育て方で剪定作業が必要になるのは、
スペースが狭くて放任が難しい場合と、鉢植えで育てている場合です。

剪定の適期は12月~2月。間延びした枝やこみあった枝などを、
分岐している場所のすぐ上で切り取ります。

剪定後は切り口に保護材(癒合剤)を塗って、切り口が痛んでしまうのを防ぎます。

ヤマボウシの育て方のポイント⑦ 剪定その二

ヤマボウシの育て方のポイント⑦剪定その二、剪定する時の注意点です。

ヤマボウシは8月頃、短い枝の先端に花芽を付け、そのまま冬を越します。

写真の通り、肉眼で確認できますので剪定の時に切ってしまわないよう、くれぐれもご注意を!

また、太い枝や幹を切る大がかりな剪定をした場合は、
2年ほど花つきが悪くなってしまう事があります。

そして、剪定をする場合でも、なるべく自然樹形に近い形になるように
切りましょう。

ヤマボウシの育て方の基本は、なるべく自然なままにする事です。
剪定作業はできるだけ控えた方が、花つきも良く育ちます。

ヤマボウシの種類や品種

ここでは、ヤマボウシの種類や品種についてご紹介します。

品種によって特徴が異なっていますので、自分の好みや
植える場所の条件などに合ったものを選びましょう。

ウルフアイ

葉と花に白い縁取り模様が入っているのが特徴の品種です。その模様から「斑入りヤマボウシ」とも呼ばれています。

1990年代に日本に導入され、2000年代に入ってから流通するようになりました。

縁取り模様と樹形の美しさから、シンボルツリーや
ホワイトガーデンなどに利用されています。

ミルキーウェイ

中国産ヤマボウシの選別品種で、他のヤマボウシ品種と比べると花つきが良く、葉が分厚いので葉焼けしにくいのが特徴です。

咲き進むとクリーム色~純白に変化する大輪の花がとても美しい品種です。

葉焼けしにくい分、綺麗な紅葉も見やすいので観賞価値が高い品種でもあります。

ミスサトミ

ヤマボウシの赤花品種の1つです。濃いピンク色の花と葉の緑色とのコントラストがとても美しいと人気が高い品種です。

和洋どちらの庭にもよく合い、病害虫に強く花つきも良い事から、シンボルツリーとしてもおすすめです。

ステラピンク

「ハイブリッド ハナミズキ」とも呼ばれている、ヤマボウシとハナミズキとの交配品種の1つです。

開花時期は両者の中間で、清楚で優しいピンク色の花を咲かせ、秋には紅葉も楽しめます。

強健で耐寒性と耐病性があり、育てやすい品種です。

ヤマボウシとハナミズキとの交配品種には他にも
”セレスティアル”や”ルースエレン”などがあります。

ビッグアップル

通常のヤマボウシ品種が鑑賞目的に特化しているのに対し、食用に特化している品種がこの”ビッグアップル”です。

他のヤマボウシ品種と比べると、とても大きな実をつけます。もちろん、春には綺麗な花を咲かせるので、鑑賞目的としても十分楽しめる品種です。

常緑ヤマボウシ

落葉樹として知られているヤマボウシに、
落葉しない品種があるのをご存知でしょうか?

「常緑ヤマボウシ」と呼ばれている中国原産の樹木で、
最近生まれた非常に新しい種類の樹木です。

正確に言いますと、ヤマボウシとは同属ですが別種の樹木に分類されます。

ホンコンエンシス 月光

常緑ヤマボウシの中でも特に人気が高い品種です。花は小ぶりですが非常に花つきが良く、枝一杯に咲かせる姿はまさに圧巻の一言に尽きます。

常緑ヤマボウシは生長が遅く、なかなか大きくならないのが難点とされていますが、逆に言えば剪定の必要性が低く、手間がかからないという利点にもなります。

ヤマボウシと同じく、自然に樹形が整う樹なので
本当に剪定の手間がかかりません。庭木としては
大変ありがたい特性ですね。

育て方はヤマボウシとほぼ同じですが、耐寒性が低いので
植え付けの適期は10月~11月、3月~5月になります。

ヤマボウシと同じく、秋には果実が楽しめます。
常緑で冬を越せるという点も、シンボルツリーとして優秀と言えるでしょう。

ただし、非常に新しい種類の樹なので、品種も流通量もまだ少なく
手に入りにくいという難点があります。

ヤマボウシの育て方・まとめ

シンボルツリーとして人気の高いヤマボウシについて、
育て方や種類など色々とご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

花も実も紅葉も楽しめる、お得な樹木ヤマボウシ。ぜひ、お庭に植えて
綺麗な花や紅葉、そして美味しい果実を楽しんで下さい♪

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

関連する記事

この記事に関する記事

この記事に関するキーワード

キーワードから記事を探す

TOPへ